こんにちは!虎丸娯丸です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
これまでパニック障害を抱えて悩んでいる人に向けて情報を発信してきましたが、今回は「パニック障害を抱える人を支えるために周りの人たちは何をしたらよいか」について、私なりの意見を書いていきたいと思います。
今まさに周りにパニック障害で苦しんでいる人がいるけど、正直どう接すればいいのかわからない・・・
パニック障害と言われても、全然ピンと来ないんだよな・・・
パニック障害の経験がなければ、きっと大半の人がそう思うと思います。
ただ、身近にパニック障害で苦しむ人がいれば、
なんとか力になりたい・・・
支えになることはできないだろうか・・・
そう思う人も少なくないはずです。
そんな人に向けて、どのように支えていけばよいかを考えていきたいと思います。
パニック障害だった当時者として、どのように接してほしかったか、どのように支えてほしかったかという視点で書いていきます。
少しでも参考にしていただけると嬉しく思います。
パニック障害とは?
「パニック」というと、「普段と違う状況で、頭の中が整理できない」といった意味の言葉として用いられることが多いことかと思います。
しかし、パニック障害の「パニック」はそんな生易しいものではありません。
耐えがたい不安と恐怖が突然押し寄せてきてきます。
日常生活でさえ、ままならない状態となるのも、決して珍しいことではありません。
このような不安や恐怖に晒され続けていると、「この状況下ではいつも不安と恐怖に襲われる」と脳が誤作動を起こし、その癖が抜けなくなることで、日常生活がどんどん蝕まれていきます。
突発的に不安や恐怖が押し寄せてきて、動悸が激しくなったり、呼吸が苦しくなったりといった発作が起こり、「気が狂うのではないか」とか、「死んでしまうのではないか」という感覚に襲われます。
中には、発作がひどすぎて意識を失うような人もいます。
病院で検査を受けても、身体的な異常はこれといって見られないことが多いです。
アメリカの精神医学会が発行しているマニュアルであるDSMによると、パニック障害の診断基準は以下の通りです。
強い恐怖または不快を感じる、はっきりと他と区別できる期間で、そのとき、以下の症状のうち、4つ(またはそれ以上)が突然に発現し、10分以内にその頂点に達する。
・動悸、心悸亢進、または心拍数の増加 ・身震いまたは震え ・息切れ感または息苦しさ ・窒息感 ・胸痛または胸部の不快感 ・吐き気または腹部の不快感 ・めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ ・現実感消失(現実的でない感じ)、または離人症状(自分の存在感が希薄になる感じ) ・コントロールを失うことに対する、または気が狂うことに対する恐怖 ・死ぬことに対する恐怖 ・異常感覚(感覚麻痺またはうずき感) ・冷感または熱感
つまり、このうちの4つ以上が突然に起こり、10分以内にピークに達したものがパニック発作です。
この発作は、きっかけがあるときもあれば、何の前触れもなく起こることも少なくないので、とても厄介です。
そして、以下の条件を満たしたものがパニック障害と診断されます。
1.パニック発作を繰り返す 2.パニック発作後、1ヶ月以上はA~Cのいずれかを満たす A.もっと発作が起きるのではという心配 B.「コントロールを失う」「死んでしまう」「気が狂う」恐怖 C.著明な行動変化 3.パニック発作は物質や身体疾患・他の精神疾患によるものではない
このような状態が見られたら、一度パニック障害を疑ってみる必要があるでしょう。
パニック障害がどのようなものであるのか理解していただけたでしょうか?
もう少し詳しく知りたいという人は、パニック障害だった私の体験談でパニック障害になるとどんな感覚なのか、詳細に語っていますので、そちらも読んでみてください。
パニック障害を克服するために必要なこと
パニック障害を克服するために必要なことは、大きく分けて3つあります。
1つ目は、パニック障害を克服したいという本人の意志。
2つ目は、克服に専念するための十分な時間。
3つ目は、周りの支え。
私が実際にパニック障害を乗り越えてきた中で、この3つがとても重要だと思いました。
では、1つずつ詳しく説明していきたいと思います。
1.パニック障害を克服したいという本人の意志
パニック障害を克服するには、まず本人が「パニック障害を克服したい」という強い意志を持つ必要があります。
なぜ、そのような意志を持たなければならないかというと、パニック障害は医師や他の誰かが治してくれるものではないからです。
一般的には、病院に行くと、医師が薬を処方してくれたり、手術をしてくれたりして、医師によって病気を治してもらうことが大半だと思います。
しかし、パニック障害は、生活習慣の乱れやストレスが大きく関連していて、薬をもらって飲んだからといって治るものではありません。
生活習慣や環境、考え方などを変えなければ、克服することは難しいでしょう。
つまり、パニック障害を克服するには、本人自身が変わっていかなければなりません。
そして、本人自身が変わるには本人自身の意志が必要不可欠となります。
例えば、ピーマンが嫌いな子どもにピーマンを食べさせたい親がいたとします。
子どもがピーマンを食べないと、親はなんとか子どもにピーマンを食べさせようとするという行動を取ることかと思います。
しかし、子ども自身が「ピーマンを食べてみよう」という気持ちにならないと、子どもはピーマンを食べませんよね?
それと同じで、パニック障害で苦しんでいる本人が「パニック障害を克服したい」と思わなければ、治療が進められないということです。
ここで注意しなければならないのは、「強制してはならない」ということです。
もう一度ピーマンの例を使いますが、ピーマンを食べたがらない子どもに対して、脅しを使って食べさせようとする親がたまにいますよね。
でも、そのように強制されてピーマンを食べた子どもは、ピーマンに良い印象を持たないはずです。
下手すれば、今よりももっと嫌いになって「見たくもない」と拒絶反応を示す子どもも出てくることでしょう。
それと同じで、「あれをやれ」「これをやれ」と強制されてしまえば、きっと嫌になってしまうと思います。
自死したいと考えている人に対して、頭ごなしに「死ぬな」と言うのもこれに当てはまります。
「死にたいと言われたら、それを否定しなければ死んでしまうのでは?」と思うかもしれませんが、頭ごなしに否定されると、より孤独を感じて、もっと死にたくなってしまいます。
まずは本人の気持ちを受け止めることから始めてください。
「黙って全部聞くから、今思っていることを教えてほしい」と言って、本人の想いを全部吐き出させるといいでしょう。
間違っても、本人の言ったことに対して否定はしないでください。
下手すると、心を固く閉ざして、二度と信用してもらえなくなります。
「本人がどうしたいか」という意志を一番に尊重することが大切です。
本人の本当の意志を確認し、尊重したうえで、コミュニケーションを図っていくことが重要です。
2.克服に専念するための十分な時間
パニック障害をできるだけ早く克服するには、なるべくパニック障害以外の不安要素を取り除き、克服に専念することが大切です。
そのためには、十分な時間を確保する必要があります。
症状が酷いときに健康な人と同じ生活をしようと思っても、それはまず無理だと考えてください。
無理して頑張らせようとすると、失敗してしまった自分を責め出したり、不安がいっそう強くなったりして、かえって症状が長引いてしまう可能性があります。
まずは、仕事や学校を休む(辞める)ことを勧めてみたり、家事を負担してあげるなどして、治療に専念できる環境を作ってあげることが大切です。
3.周りの支え
パニック障害になると、耐えがたい不安や恐怖で気持ちがとても不安定になり、孤独感を感じやすくなります。
毎日が不安で、怖くて、心の中では常に誰かに助けを求めています。
でも、そんな気持ちとは裏腹に、なかなか頼ることができないという人が多いのではないかと思います。
私もその1人でした。
「助けてほしい」「この苦しみをわかってほしい」と思いながらも、「迷惑をかけてはいけない」「この状態が人に伝染したらどうしよう」「頭のおかしなやつだと思われたくない」などと悪いことばかりが頭を過り、なかなか人に頼れませんでした。
でも、それはとてもつらいことです。
自分の置かれている状況を打ち明けられる人、頼れる人がいないというのは、本人にとってものすごく大きな負担となります。
周りの人には、パニック障害で苦しむ人がいつでも頼れるような、いつでも助けを求められるような雰囲気で接してほしいと思います。
パニック障害を克服するために周りができること
では、具体的に周りの人たちはどのように接したらいいのでしょうか。
パニック障害を抱える人を支えるために気をつけたいことは以下の通りです。
1.本人の「つらい」という気持ちを受け止める
2.本人の行動をできる限り制限しない
3.共感は不信感を生むことも・・・
では、1つ1つ説明していきたいと思います。
1.本人の「つらい」という気持ちを受け止める
パニック障害は周りの人から見て、目に見えてわかるような病気ではありません。
さらに病院で身体的な検査をしても、異常が見られないため、「何がどうのように悪いのか」「なぜ苦しいのか」「どのくらい苦しいのか」ということが、なかなか理解されにくい病気です。
そのため、人に理解してもらえないという苦しみをいっそう強く感じているはずです。
そんな人の気持ちを否定する言葉を投げかけたらどうでしょう・・・
きっと不信感を持ったり、よりいっそう孤独を感じることでしょう。
ここで少し、よくない言葉の投げかけ方を紹介したいと思います。
例1.「世の中につらい思いをしている人なんてたくさんいるんだから・・・」
⇒これは絶対に言ってはならない言葉の1つですね。
まず人と比べてはなりません。
精神疾患を持つ人の多くは、自己肯定感が地の底を這うくらい低いという特徴があります。
そんな相手に、人と比べて「あなたはまだまだだ」というニュアンスの言葉を投げかけてしまったら、さらに自分を責めて余計症状が悪化してしまう恐れがあります。
「つらい」の基準は人それぞれです。
その人の「つらい」という気持ちは、誰ものもとも比較せずに、まずは尊重して受け止めてあげましょう。
例2.「きっと治るよ!」「大丈夫大丈夫!」
⇒希望を持たせるという意味では、悪い言葉ではないと思います。
治療をしていくうえで、「パニック障害は治る」という希望を持たせるために、むしろ必要な言葉だとも思います。
私も実際に、「治るものだ」と信じたくて、克服に成功した人のサイトをよく漁っていました。
ただ、そういった言葉を掛けるために、重要なのはタイミングです。
この言葉を使う前に、まずは「つらい」という気持ちをしっかりと受け止めてあげましょう。
本人が自分の気持ちを吐き出しきったところで、このようなポジティブな声をかけてあげるといいと思います。
つらいときにつらい気持ちを受け止めてくれる場所って、とても大事だと思うんです。
まずはその人の気持ちを吐き出せる状況を作って、受けとめてあげましょう。
2.本人の行動をできる限り制限しない
パニック障害になると、不安や恐怖で気が狂いそうになるという状況に陥ります。
ときには、その不安や恐怖から逃れるために、周りから見ると不可解で奇妙な行動をとってしまうこともしばしばあるかと思います。
もちろん、自傷行為や自殺をしようとしている場合には、とめたほうがいいと思います。
ですが、例えば、夜中に家中をうろうろ歩き回るだとか、授業中にいきなり教室を飛び出すだとか、そういった自分の不安や恐怖を少しでも取り除くための危機回避的な行為は、どうか禁止しないであげてください。
きっと、その人だって好きでそのような行動をとっているわけではありません。
きっと、周りを困らせてやろうと思ってそのような行動をとっているのではありません。
不安や恐怖と真正面から向き合うと、押しつぶされてしまうから、つらくて苦しくてどうしようもないから、そのような不可解で奇妙な行動をとってしまうのだと思います。
周りができることは、その人の事情を理解してあげて、奇異な目で見るのではなく、温かく受け入れてあげることです。
3.共感は不信感を生むことも・・・
「今~な状況でとてもつらい」というと、「わかるわかる、私も~でさ・・・」と言う人がいますが、これは「共感」という名の自己顕示欲です。
とてもつらい状況下で、大してつらそうではない(ように見える)人に、これを言われたらどうでしょうか・・・
私は実際に母にも伯母にも同じようなことを言われて、「こんなつらい気持ち、わかるわけないじゃん!!!」「パニック障害なんて経験したことないくせに!!!」「わかったような顔するなよ!!!」と思いました。
そして、強い不信感と嫌悪感を覚え、「この人達にはあまり頼りたくないな」と思い、完全に心を閉ざしました。
重要なのは、共感ではありません。
その人の気持ちを考え、理解しようとする姿勢が大切だと思います。
よく話を聞いてあげてください。
今何を感じているのか。
どのように感じているのか。
どうなりたいのか。
どのような助けが必要なのか。
多かれ少なかれ、きっとそれだけでパニック障害で苦しんでいる人の救いになることかと思います。
まとめ
今までいろいろと書いてきましたが、ここで言いたかったのは、その人自身を見てあげてほしいということです。
私はパニック障害を経験しましたが、経験したからといって、パニック障害で苦しむ全ての人の気持ちなんて理解できません。
それどころか、1人の気持ちですら完璧に理解することなんてできません。
パニック障害で苦しんでいるといっても、感じ方や考え方は1人1人違います。
ある人は暗闇が苦手でも、またある人は暗闇は平気という場合もあるように、同じ病気で苦しんでいても、人それぞれ苦手なことと平気なことは違います。
パニック障害だけでなく、これは一般的な対人関係にも通じるものだと思います。
何か特別なことはしなくていいんです。
とにかく、よく相手の話を聞き、相手を理解しようと努めて、相手を受け入れてあげてください。
それが私たちにできることだと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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